第十話　夜の蝶

キーンコーンカーンコーン
イツキ―お昼食べに行こう
あらちよ子
肩凝ったわあ あの教授の講義ダルすぎなのよ 単位足りないから取ってるけど
そう?結構面白いと思うけど
あんたは本当に真面目な優等性ねえ 成績も常にトップクラスだし
そんなことないって
勉強ばっかで息抜きしたいと思ってたところだし次の休み遊びに行こうよ
あっそれなら行きたいところあるのよ
ちょっと見てくれる?

あたしの最近の推し!!
・・・・・・・・・!!えっと・・・
誰?俳優?YouTuber?
ホストよホスト 歌舞伎町の有名な 興味ない?行ってみたいの
一人で行くの恥ずかしいから付いてきて欲しいの
歌舞伎町?危ないんじゃない?
あら大丈夫よ あの街最近は若者用のスポット増えてるし
ふーん・・・私はいいよ
興味なさそうねーわかってたけど
いいわ違う人誘うから あっSNSまた更新されてる!

馬太郎様お顔もいいし凛々しいしきっと性格も男らしくて聡明なんだわ
いや・・・そんなことはないと思うけど
なんでわかるのよ
ああ いや別に・・・
そうだ休みがだめなら今日どっか寄ってこうよ この後予定は?
午後は授業無いけど地元のコンビニでバイトなの 遊ぶためにはお金がないと
そっかーわかったよ
もう時間だから行かなくちゃ
ふふ また遊びましょ それじゃ明日ね
うん
・・・・・・・・・

新宿
カチャカチャ
さすがイツキね
趣味が合う友人だとは思っていたけれど
ここまでとはね・・・
でも学校での優等生イメージを保つために
ババン ピョコン　ドドン
バレるわけにはいかない
夜の蝶 目白 ちよ子
さて今日も男を漁るわよ
いらっしゃいませ ちよ子様 いらっしゃいませ
ちよ子さん 今日も来てくれてたんだね
VIP席へどうぞ
サービスのローラン・ペリエです キラキラー
どうも

お疲れ様 今日は大学?
まあね
今日友人があんたの話してた SNSで知ったって
えーホント?
僕も人気になってきたのかなあ お客さん達のおかげだね
いいえ
全てこの私のおかげ 私の一言で全てが決まるのよ
者ども 頭が高い!!!
今日もちよ子節が冴え渡ってるな～
いつかその子も連れてきて欲しいなあ
・・・だめだめいい子なんだから
こんなところ連れて来たくない

えー
どんな子なの?
えっそうね・・・
人一倍素直で他人のことを考えてくれる奴よ コンビニでバイトしてる
学費も自分で稼いでて偉いのよ
へー
学費生活費は親の仕送りでホストのレビューで稼いだお金をホストで溶かすちよ子さんとは大違いだね
うっさい ほっとけ
リアルな話はいいの
あんたは私に非日常を提供する義務があるのよ
ちよ子さんが話振ったんでしょ・・・
あーあ この街の男も大体漁り尽くしたわ もっといい男がいないものかしら
あっ 僕の兄上はいい男だよ なんでもできるし
却下却下 あんたの身内なんてたかが知れてるわ
ええー

新規一名様お通ししまーす
！
今日は新規のお客さんが多いんだよねえ
店自体も盛り上がってるのね これもそれも私のおかげ・・・
!!!
ジャーン お席までご案内します
イツキ・・・バイトだったんじゃ・・・
隠れて!!
いたたた・・・
なんで隠れてるの?
なんでって・・・男漁りが趣味だとバレたら学校での聡明なイメージが崩れるからよ

大丈夫大丈夫 ちよ子さんはここでも優等生だから
無遅刻無欠席皆勤賞だしみんな尊敬してるよ
嬉しくない!!
ああっ馬太郎様～!!キャー!!
ギャアアア!!!
あら
隣の女の人あたし知ってるわ・・・
・・・・・・・・・!!終わった・・・
毎夜歌舞伎町に現れ気に入られたホストは必ず売れるという『歌舞伎町の蝶』
ホストクラブのレビューサイトやライブ配信で彼女を見ない者はいない
そしてネットで稼いだ全てのお金をホストに還元する

あの伝説の女帝に会えるなんて
光栄だわ
馬太郎を指名するにはあのレベルじゃないとダメなのね
・・・・・・・・・
化粧のおかげでバレてないみたいだね
ここは非日常を味わえる場所なんだしもっと堂々としていいんじゃない?
・・・・・・・・・そうね
いいわ ババン
この世界でプライドもある　今この空間にいる人間の会計は私が全て持つ!!! 好きなだけ飲みなさい
イェーイ
そこまでしろとは言ってないけど・・・
次の日
きいてよ昨日我慢できずに行ってきちゃった 馬太郎様かっこ良かった～
・・・・・・・・・そう良かったね・・・
今日もカップ麺?
節約しすぎじゃない?
第十話完