第三話　因縁

無事引越しも済んだことだし大久保殿に挨拶しにいくか
ドンッ
わっ
おうおう兄ちゃんどこ見て歩いてんだあ?
ああ悪かったな
悪かったで済むか!! 慰謝料払ってもらわんとなあ
・・・やれやれ古いタイプの悪党でござるな
令和になっても絶滅していないとは
うるせえ王道の適役と言え
侍に喧嘩をうるとはまた・・・古いうえに身の程知らずでござる

侍ぃ?どっちが古いんだてめえ
大体お前みたいなのが侍なわけねえだろ
袴でもないしはずれ馬券が着物から飛び出してる奴なんてよ
うっうるさいっ
ふん言ってわからぬような悪党には天誅を与えるほかあるまい
パンパン ガサガサ あれ?
ビームサーベルがない!!!
東京競馬場に忘れてきたでござる!!!
死ね!!!
イヤアアアア!!!

ズッーーーー
!?
コロン
え?
おお・・・見事な峰打ち
王道の適役はやっぱりちょい役でござる
ガラッ
大丈夫かーい?
大久保殿・・・
マコちゃんありがとう うちのお客さんを助けてくれたんだね
ふん

助けたくて助けたのではない 　王道の好敵手であるお前などを
落合・・・!?
あれ?知り合い?
・・・ああ
久しぶりだな 二度と会いたくはなかったが・・・
随分腰抜けたものだ
さっさと立て 着物出てるゴミを拾ってからな
いや～見ないで～

十五年前
馬太郎8歳 龍之介10歳
たのもー!!!
ビクッ
龍之介ェ!!決闘を申し込む
今日こそ勝つ!!
毎日遊びの惚けている貴様に私が負けるはずないんだあ
バッチーーーン
うわああっ

貴様には何度も勝負したが私は一勝もできなかった
成長するにつれ決闘の頻度は減り・・・
そして貴様の顔も忘れかけたあの頃
侍免許センターで再会した
免許センターでもこいつはろくに練習もせずに誰よりも早く合格しやがった
許しがたい屈辱・・・
やはりさっき捨ておいて消しておくのが懸命だったのかもしれん
いやいや～練習は結構したでござるよ 能ある鷹は爪を隠すんでござる
いや別に隠してないよね

タツくんってそんなに強かったんだね うちで雇ってもいいなあ
本当でござるか大久保殿!! 是非お願いしたい
あとこないだ教えてもらったゲーセン行ったでござるよ
ホント?すごいんだよあそこ世界大会とかやってて・・・
おいおいおーい
せっかく回想してんだから私の話をしろ!!
大体大久保殿の用心棒は私だろうが!!!
いつからそんなにタメ口叩く仲になったんだ貴様ら
もっと言うと不動産漫画は不動産の話をしろ!!!
うーん
これと言って話すことがないでござる うーん最近どう?髪切った?
く～!!なんと憎たらしい
決闘だ龍之介 あれから随分経ったもう負けるはずがない
ええ・・・この歳になって嫌でござるよ・・・
あっそうでござった 拙者のビームサーベル!!

取りに戻るので拙者はこれで失礼するでござる
タツくん菓子折りありがとう
おおおい待てええ!!!!
くっ素早い奴め・・・
こんなに強いマコちゃんにもライバルがいたんだねえ
タツくんをうちで雇ったらより高め合えるんじゃない?
なっ本気なのか大久保殿
昔馴染みと職場が同じなど気まずいことこの上ないだろう
えーそうかなあ
天然なのだ大久保殿は・・・
– 一時間後東京競馬場 –
いけっ大穴負けるな!!
ビームサーベルのことは完全に忘れ後に大負けする
第三話完